共鳴り
男は勝手ね、男は馬鹿よ。


レイコさんはいつも、まるでこの世の男全てに言っているように、そんな言葉ばかり使うし、それは最初に会った時から変わってないところでもある。


物事を諦めてしまったようで、でもどこか憂いを帯びた瞳なんや。


俗世間から隔離されたような場所に位置する人。



「テレビなんか観ないわよ。
総理大臣が誰であろうと、どこで戦争をしてようと、あたしの生活なんて何も変わらないんだし。」


前にそう言っていたことがある。


それくらい、何事においても冷めた目で見る人なんや。







「当分は何も出来ないし、話でもする?」


そう言ってレイコさんは、ベッドへと腰を降ろし、煙草を咥えた。


座りなさいよ、と促され、俺は小さくなりながらも同じように、少し間を開けて彼女の横へと座った。


それを見届け、そうねぇ、と考えた後、自己紹介でもしましょうか、と彼女は言う。



「銀二、だっけ?
アンタ年は?」


「…19、デス。」


「あらあら。
若い身空で人生終わっちゃったのねぇ。」


あぁ、やっぱそうなんや。


視線を落とす俺をまるっきり無視の彼女は、あたしはレイコよ、と言った。



「25ね。
って、早速聞くことがなくなっちゃったわねぇ。」


この人もまた、勝手な人やった。


自分で聞いて、自分で終わらせて、いつもそうなんやけどね。

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