共鳴り
「…俺、これからどうされるんですか?」


恐る恐る問うと、彼女は目を丸くして俺を見た。


そして「ホントに何も聞いてないのねぇ。」なんて言いながら、他人事のように笑う。



「アンタはね、ここであたしと過ごしながら、お勉強をするのよ。」


「…勉強?」


「女を地獄に落とすための、お勉強。
まぁ早い話、アンタはあたしとセックスすんの。」


セックスをする?


わけがわからなかったし、それ以前に俺、この人とヤるとか絶対無理やし。


それってまるで、国宝にべたべた触る行為と同じようなもんやと思った。


レイコさんは、それくらい完璧だったんから。


クソガキの俺でさえも、ヤれって言われてヤれるような存在やなかった。



「言っとくけど、アンタにNOって言葉はないの。」


まるで俺の迷いを射抜くような、そんな台詞。



「…レイコさんは、そんなんで良いんですか?」


「何が?」


「俺とヤれって命令されて、わかりました、って素直に聞いて。
けど、そんなんさすがに無理でしょ?」


言うと、彼女はあからさまにため息を吐き出しながら、やっぱり馬鹿な子、と宙を仰ぐ。



「アンタにはね、これから女の全てを教え込んであげる。
それが嶋さんのシノギになるのよ。」


そこに良い悪いなんかないわ、と。


俺は馬鹿やから、やっぱり意味がわからんかった。


そんな俺に、彼女は俺がこれから与えられる仕事を話してくれる。

< 61 / 339 >

この作品をシェア

pagetop