国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

苦しい修行を強いられているウェスタの巫女たちにとって、食事は数少ない楽しみの一つだ。

しかし、今、マルスの怒号に支配されたこの場の誰もが、顔を伏せている。


レアは、我慢できなくなって、隣にいるマルスに向き直った。


「マルス様。神官様のお食事がなぜ豪華なのか、ご存知でいらっしゃいますか?」


「知らぬ。だが、それが何だ。神官でありながら、秩序を守らぬなら辞すべきだろう」


巫女の尊厳を傷つけたシギネアを打ち据えて、感謝されるのかと思ったのに、

レアの声は諭すような響きを持っていて、マルスは余計に不機嫌になった。


「神官様のお食事は、全て身内の方のお心配りです」


「身内の?」


マルスは、レアの言葉の先に続くものにより、自分が打ち据えられる予感がして眉間にしわを寄せた。


「神官様は、貴族の出身です。貴族ならば何不自由なく暮らせるのに、

みな神官となり、辛い修行に耐えておられるのです。

そんな子供に、親がせめて食事くらい差し入れたとしても、それは責められることでしょうか?」


淡々と語る口調に、その場の誰もが耳を傾ける。

それは、あの創世記を語った時と同じように、自然に人の心に染み入る力を秘めていた。





< 109 / 522 >

この作品をシェア

pagetop