国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
苦しい修行を強いられているウェスタの巫女たちにとって、食事は数少ない楽しみの一つだ。
しかし、今、マルスの怒号に支配されたこの場の誰もが、顔を伏せている。
レアは、我慢できなくなって、隣にいるマルスに向き直った。
「マルス様。神官様のお食事がなぜ豪華なのか、ご存知でいらっしゃいますか?」
「知らぬ。だが、それが何だ。神官でありながら、秩序を守らぬなら辞すべきだろう」
巫女の尊厳を傷つけたシギネアを打ち据えて、感謝されるのかと思ったのに、
レアの声は諭すような響きを持っていて、マルスは余計に不機嫌になった。
「神官様のお食事は、全て身内の方のお心配りです」
「身内の?」
マルスは、レアの言葉の先に続くものにより、自分が打ち据えられる予感がして眉間にしわを寄せた。
「神官様は、貴族の出身です。貴族ならば何不自由なく暮らせるのに、
みな神官となり、辛い修行に耐えておられるのです。
そんな子供に、親がせめて食事くらい差し入れたとしても、それは責められることでしょうか?」
淡々と語る口調に、その場の誰もが耳を傾ける。
それは、あの創世記を語った時と同じように、自然に人の心に染み入る力を秘めていた。