国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

一見、皆平静を装って食事に手をつけるが、どこかふわふわとして、落ち着かないことは、誰の目にも明らかだった。

ちらちらとマルスに視線をむける者、決して目を合わせまいとうつむくもの、緊張して食器をカタカタとならす者。


ただ一人、シギネアだけは、唇を噛み締めながらマルスの隣に座っているレアをにらみつけていた。



・・この私に恥をかかせて!覚えておきなさいよ!



レアのおかげで、自分の身が助かったことにも気づかず、シギネアは怒りの全てをレアに向けた。


一方のマルスは、慣れない食事が喉を通らず苦戦していた。



・・本当に、毎日こんなものを食べているのか。



それは、腹を満たすだけの目的しか達成し得ないほどの粗末さで、

マルスのような大人の男には、それすら満足を得られないような代物だった。



・・これでは、親が差し入れることを咎めることもできんな。



マルスは、自分が今まで何度となく立ち入り、全てを知っているつもりだったこの神殿の、

ほんのうわべだけしか理解していなかった自分を恥じた。


そして同時に、こんなにも近くにあるもののことさえ理解しきれていないということは、

他の多くのことについても、同様のことが言えるのだろうと思った。



・・俺は、今まで国のことを、民のことを、どれくらい理解していたのだろうか。

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