国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

その月になると、ウェスタ国の王宮周囲の街々では、一気に人口が3倍に膨れ上がる。

年に一度の例祭--クリナリア祭は、ウェスタ国をあげての、豊穣を祈る祭りで、

いくつかある祭祀の中で、もっとも重要とされるものだ。


そのため、信仰心の厚い者は、クリナリア祭で祈りを捧げるために、

何ヶ月も旅をしてこのウェスタ神殿を訪れるのであった。


もちろん各地では、クリナリア祭にあわせてさまざまな催しが行われるが、

ウェスタ神殿を訪れるものの最大の楽しみと言えば、ウェスタの巫女が神に捧げる祝詞と舞であった。


『今年の祭祀王は、上級巫女のレア様だそうだぞ』


『ああ。なんでも、神に愛されたすさまじい力をお持ちの方らしいな』


レアの噂は、風のように国中をかけぬけ、そのたびに神格化された尾ひれが上積みされていった。



・・レア、だと?!



どこかレアによく似た面差しをしているその男が、その噂を耳にしたのは、

ちょうどウェスタ神殿を目指す旅の途中であった--。




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