国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

「まぁ、マルス王!

ディスコルディア、あなたまた、お忙しい王にご無理を言いましたね?」


ディスコルディアの母ニュクスは、その美しい眉をひそめて、娘を見やる。


「いいえ、ニュクス。私がドレスを見たいと連れてきてもらったんですよ」


「そうよ、お母様!お兄様にドレスを見せて差し上げるのよ!」


ニュクスは、前王、つまりマルスの父の正妻で、ディスコルディアの母である。

透き通るような白い肌に、切れ長の瞳をした、正統派の美人だ。

とても16の娘がいるようには見えないその若さは、マルスの妻だと言っても

問題ないくらいに、いまだ美しさを誇っている。


ニュクスは、マルスが、自分に気を使って嘘をついてくれたのだとわかっていたが、

娘のうれしそうな笑顔に、それ以上何も言わなかった。


ディスコルディアは奥へ引っ込むと、手早く身支度を整えて、ドレスに袖を通す。

そして、マルスの前へ出てくると、くるりと一回転し、いたずっらっぽい笑みを浮かべて、マルスに流し目を送った。


「どう?お兄様。お嫁にしたくなったでしょ?」







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