国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
マルスが無意識に力を込めて握ったこぶしには、深々とつめが食い込んだ。
床に滴り落ちる血の雫に、ニュクスは顔色を変えたが、
ウルウは一瞥しただけでマルスの質問に淡々と答えた。
「はて、今までウェスタの巫女の体調を、王が気になされたことなどあったでしょうか?
2年前に私が風邪をこじらせて、1ヶ月寝込んだこともご存じないのでは?
神官長の寿命が来た、次は誰だと、かなりの騒ぎになりましたがね」
ウルウの皮肉を受け止めきれるほど、今のマルスは打たれ強くなかった。
それはまったくその通りで、マルスには反論する一部の隙さえなかった。
今の今まで、マルスは神殿や、そこに集う巫女たちに、何の興味もなかった。
もちろん、政治的には重要な意味を持っているので、たまには見回ったり、
巫女や神官の任命式には必ず出席していた。
しかし、神官長が誰になろうが、彼女たちがどんな暮らしぶりだろうが、
自分の足を引っ張りさえしなければ、正直どうでも良かった。
ウェスタの巫女など、マルスにとっては、たんなる箱でしかなく、
箱の見栄えさえ整っていれば、それが空だろうが、腐っていようが、中身に関心はなかった。