国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
しかし、それでもなお、レアは自分の心を否定するしかなかった。
ニュクスに問われるまでもなく、うっすらと開き始めたマルスへの恋心。
それは、花のつぼみが膨らんで花開くように、ゆっくりと、だが確実に。
しかし、王と奴隷上がりの自分では、やはり身分の隔たりが大きすぎる。
ニュクスへの答えは、一つしかなかった。
「私は、奴隷上がりの巫女ですから。
王をどう思っているかなど、そのような問いに答えられる身分ではございません」
レアは、顔をあげ、ニュクスの瞳を真正面から見据えて、ぴしゃりと答えた。
全身全霊で、ニュクスを騙しきる。そうしなくては、自らを騙すことなど到底不可能だった。
レアはぎゅっと目を瞑った。まるで、ニュクスの存在を遮断するかのように--。
ニュクスは少しさびしそうに微笑んで、長居をしました、と言って去りかけた。
去り際に、ニュクスはレアに聞こえないほどの声で、ぼそぼそとつぶやいた。
「それでも、王は、あなたをあきらめる気はないようですけどね」