国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

一瞬、会議場が、しん、と静まり返った。

どうも、王の様子がいつもとは違う・・・。


全ての人間がそう感じたが、それはほんの刹那のことで、せいぜい今日一日の“お遊び”だろう--、そう思いなおした。


「お前も覚えてないのなら、口答官(こうとうかん)に聞こう。どうだ、第一口答官!」


マルスに第一口答官と呼ばれた男は、大慌てで立ち上がった。

前王、現王の二人に渡り、30年以上の経験を持つ彼でも、会議中に王に呼ばれたのは、まったく初めてであった。


口答官というのは、会議の記録係のことだ。

文字を持たないウェスタで、彼らは、その類まれなる記憶力で、会議の内容を頭の中に記載している。


第1から、第5口答官までが存在し、総勢20名で、会議の記録(暗記)を行っていた。


その頭脳明晰な口答官も、王の質問に答えることはできなかった。

なぜなら、増税に関わるような、国政の改革など行われていないからだ。


「あ、あの・・。

申し訳ございません。記憶がはっきりしませんので、他の口答官と間違いがないか確認しまして、

後日改めて回答させていただきたいのですが」


男は、蚊の鳴くような声でぼそぼそと答えた。




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