国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

こんな夜更けに、マルスが自分の部屋を訪ねるはずがない。

思わず後ずさりすると、同じように進み出たマルスの熱い息が、またしてもレアの耳元にかかった。


「少し、話がしたいんだ。入れてくれるか?」


断るべきだ。レアの理性は、即座にそう訴えかけた。

ただでさえ、自分の立場は、薄氷の上に立たされている。

ラウススのことで、いらぬ噂を立てられ、ニュクスまでもが、自分の部屋を訪れ、余計な心配をしていった。


『マルス王のお母様も、もとはウェスタの神官でしたし』


ニュクスの言葉が、レアの脳内に充満しかけて、レアはマルスから顔を背けた。


しかし、今更顔を背けても、手遅れだった。

もう一人の自分は、マルスを拒否するどころか、喜びに沸き立っているように思える。


レアは、大きく深呼吸して、高まる鼓動をなんとか押さえた。


「どうぞ」


レアの言葉に、マルスはほっとしたように微笑んだ。

作り物ではなく、心からの柔らかな微笑み。


レアの心臓が、いっそう大きく、どくんとなった。



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