国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

「なんだ?きちんと言ってみろ。お前の望むとおりにしてやるぞ。

俺の亡き母も、妹を守るのは兄の責任だって言っていたしな」



・・ヴェローナ様の言いつけだから、私を守るの?



ディスコルディアは、これ以上ここにとどまって、マルスの言葉に耳を傾けたくなかった。


常に自分本位で生きてきたマルスも、妹の前で兄の顔を崩したことはない。

それは、彼女の母であるニュクスのためでもあったが、元はと言えば、実の母であるヴェローナのためであった。


『私たちがこうして幸せなに暮らせるのも、ニュクス様のおかげです。

常にそれを忘れてはいけませんよ』


それは、子守唄のように毎日聞かされたヴェローナの口癖だった。

貴族の娘であったヴェローナは、神官から妾妃として、王宮へあがった。


そのため、一部では陰口を叩かれることもあり、

当初、王宮での立場は微妙なものであった。


しかし、正妃であったニュクスは、ヴェローナの人柄を気に入り、

先に子供を身ごもったヴェローナに、心を砕いて接してくれたのだった。


ニュクスがディスコルディアを産むと、今度は


『ディスコルディア様を悲しませてはいけませんよ』


という口癖が当然のように加わった。







< 248 / 522 >

この作品をシェア

pagetop