国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
「なんだ?きちんと言ってみろ。お前の望むとおりにしてやるぞ。
俺の亡き母も、妹を守るのは兄の責任だって言っていたしな」
・・ヴェローナ様の言いつけだから、私を守るの?
ディスコルディアは、これ以上ここにとどまって、マルスの言葉に耳を傾けたくなかった。
常に自分本位で生きてきたマルスも、妹の前で兄の顔を崩したことはない。
それは、彼女の母であるニュクスのためでもあったが、元はと言えば、実の母であるヴェローナのためであった。
『私たちがこうして幸せなに暮らせるのも、ニュクス様のおかげです。
常にそれを忘れてはいけませんよ』
それは、子守唄のように毎日聞かされたヴェローナの口癖だった。
貴族の娘であったヴェローナは、神官から妾妃として、王宮へあがった。
そのため、一部では陰口を叩かれることもあり、
当初、王宮での立場は微妙なものであった。
しかし、正妃であったニュクスは、ヴェローナの人柄を気に入り、
先に子供を身ごもったヴェローナに、心を砕いて接してくれたのだった。
ニュクスがディスコルディアを産むと、今度は
『ディスコルディア様を悲しませてはいけませんよ』
という口癖が当然のように加わった。