国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

ウェスタから、南にある小さな町でも、陽の光は和らぐこともなく日々強さを増して降り注いでいた。

このところ、農民たちはいつも暗い顔をしており、その顔を合わせるたびに不安を口にする。


『なんだか、今年は、雨が少ないなぁ』


『このままでは、まずいことになる』


『作物の育ちも今ひとつだ』


『まったく、困ったことだな』


農夫のため息が、ひとり、またひとりと、伝染するように広がり、

そのたびに、深さを増したものへと変化していく。


農夫にとって、天候の会話は日常茶飯事のことだ。

それが、農作物の出来を左右するのだから、気にするのは至極当然のことで、

気にならない者など、ただの一人もいないだろう。


あまりにありふれた日常の光景で、その深刻さに気付くものは、誰ひとりとしてなかった。



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