国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
「増税だと?」
マルスの決して大きくはないが、肝の冷える、低い声。
とたんに、喧騒としていた議場はしんと静まり返り、一切の音が排除される。
嵐の前の静けさ。
「どういうことだ、アニウス?」
アニウスが提案した増税案は、マルスの強い希望で却下されたはずだった。
マルスの鋼の剣にも似た、尖った視線にも、アニウスは、動じることなく立ち上がる。
「私は、王のご命令どおりに、去年と同じ税を徴収するよう指示を出しております。
おそらくは、地方官の中に、不正を働いているものがいるのでしょう。
その件は、私が責任を持って、お調べいたします」
いかにも忠臣面をして、アニウスは、折り目正しく申し述べてから、
「ところで、僭越ながら、申し上げます」
と続けた。
「このように、国が荒れるのは、王の統治が安定してないせいではないでしょうか。
今回の件で、ウェスタの民にも動揺がはしりましょう」
傍目にもわかるほど、マルスの眉間のしわが深くなる。
いくら王の伯父といえども、すでに後見をとかれた身。
アニウスの言に、誰もが彼の最期を予感した。