国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
陽が落ちると、夏の暑さが夢だったのではないかと思うほど、底冷えがする。
まだ冬に入ってもいないというのに、この気温はなんなのか。
むき出しの肩が、冷気に触れる。
マルスは、渡り廊下を歩みながら、上着を羽織るべきだったと王宮を振り返った。
だが、神殿はもはや目の前だ。はやる心に勝てず、マルスは歩みを止めなかった。
・・ん?子供?
目的の部屋の前を、行ったり来たりしている少女が目に留まる。
かわいい顔には不釣合いな、難しい顔をして。
よほど集中しているのか、彼女がマルスに気付いたのは、ほんの2、3歩の距離を残してだった。
「あ、マルス王!」
少女は、自分で自分の言った言葉に驚き、ぎゃっ!と口元を両手で隠した。
「ここで何をしている?その格好は、巫女見習いだな?
レアに用事でもあるのか」
マルスは、少女の不可解な行動に首をひねったが、たいして関心はなかった。
それよりも、今早急に解決すべき問題は。
マルスは、おろおろする少女に、頭を下げた。
「悪いが、俺もレアに急ぎの用事がある。先に会っても構わぬか?」
少女は、当然、その権利をマルスに譲った。