国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
王宮の外へ一歩出れば、春のようなほんわりとした陽射しが降り注いでいたが、
会議が行われている部屋では、
マルスとアニウスの、激しく、かつ、吹雪にも似た火花が飛び散っていた。
「では、どうしても、そのレアという巫女を妃に迎えると?」
「さっきから何度もそう言ってるだろう」
「しかし、その娘は、奴隷出身だと言うではありませぬか」
「そんなことは、関係ない。俺はレアを妻にする。正妃にだ。
側室は持たない。何度も言わせるな」
反対されることは、承知だった。
そのうえで、レアを正妃にすえると認めさせなくては、今後自分の考えは、何一つ通らないだろう。
「もし、シギネア嬢がお気に召さないと言うのであれば、」
一人の男が、マルスとアニウスの間に割って入る。
「ディスコルディア姫などはいかがでしょう。
妹姫とは、普段から仲が良くていらっしゃいますから」
笑い皺とほうれい線の目立つその男は、普段から徒党を組まず、常に中立の立場を守ってきた。