国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
彼は、アニウスとは別の理由で、マルスの希望を受け入れるのには消極的だった。
それは、レアがたんに奴隷出身ということではなく--。
「お前が反対するのは、レアが奴隷だからではなく、巫女だから、だろう?
そういう意味では、シギネアとの話にも反対のはずだ。
違うか?ルクス」
議場が、水を打ったように、静まり返った。
マルスは、重臣たちの心の声を、正確に代弁しただけだったが、
彼らは素直に頷くのは躊躇した。
頷けば、それは、今まで触れないよう細心の注意を払ってきた行為を、無に帰することだから。
「王よ。誰もそんなことは一言も申しておりません。
ただ、王には、もっと相応しい相手がいると、そう申し上げているだけです」
ルクスと呼ばれた大臣は、心のうちを悟られないよう質問をかわして、
これ以上話が核心に近づかないよう祈ったが、その努力を、アニウスが踏みつけて荒らした。
「なんと!ルクス様は、今更、王の血について、疑いをお持ちなのか。
それとも、ご自分の娘が、神官長まで上り詰めながら、退任を来春に控え、
焦って、ディスコルディア様の話を持ち出されたのかな。
確か、姫様の母君、ニュクス様は、ルクス様の一族の出でしたな」