国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい



・・アニウスめ!

自分が何を言っているのか、わかっているのか!



ルクスは、かろうじて表情には出さなかったが、

瞳だけは、研ぎ澄まされた刃のように細められ、切れ味が増す。


ルクスは、アニウスの言についての答えを、彼ではなく、王に向かって奏上した。


「王よ、この部屋にいる大臣たちの誰も、決して申し上げることができないでしょうから、

代表して、私が申し述べましょう」


アニウスに対抗できる可能性のある唯一の男の言葉。マルスも真剣に耳を傾ける。


「私の娘ウルウは、確かに神官長を退任いたしますが、

アニウス大臣がおっしゃるような二心(ふたごころ)を抱いているわけでは決してありません。


王は、現在わが国で、餓死者が続出していることを、ご存知ですね」


「あぁ、少し前から報告が上がっているから、知っている」


今年は不作の年であったため、納税に猶予期間を設け、

なおかつ、飢饉の時用の非常蔵を開け、貯蔵してあった穀類などを各地に送る手はずになっていた。




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