国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

「今から20年ほど前にも、同じような飢饉がありました」


静かなルクスの声とは対照的に、大臣たちは一斉に、ぎょっと息をのんだ。

馬鹿な!そんな禁句を、王の眼前でするなんて。


マルスは、ルクスをぎろりと睨んだ。視線だけで射殺せそうなくらいに。


「それも、知っているぞ。俺が生まれたせいで飢饉になったんだったか?

今回の飢饉も、俺のせいにしたいわけか」


蒼白な面々の中、ひとり、口元をほころばせているのはアニウスだ。

しかし、ルクスは、マルスの視線など、柳のように受け流し、続けた。


「確かに、人のせいでおきることもありましょうが、

今年の不作は、その年の天候によるもので、人災ではありません。

もしかしたら、20年周期で、飢饉が起きるのかもしれません。

40年ほど前にも、不作の年がありましたから」


ルクスの淡々とした口調は、ウルウにそっくりだ。

確か、養女と聞いていたが。

マルスは、ルクスの顔までもが、ウルウに似ているように思えた。












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