国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

それがどうだろう。

今までの分を取り返すように、生き生きとした、魂の宿るマルスの青い瞳。

それは、かつてホーエンが仕えた主を、彷彿とさせた。

兵士の中でも1、2を争う剣の使い手であったホーエンが、一度も黒星をつけられなかった唯一の男。


前王は、決して狂王などではなかった。

確かに発想が突飛で、多少常人離れしたことはあったが。

そば近くで仕えた彼には、前王が出奔した理由も、手に取るようにはっきりとわかっていた。



・・やはり、似ていらっしゃる。



ホーエンは、目を眇めた。


守って差し上げねば。

彼が、真実を探り当てる、その日まで。


ホーエンは、無意識に頬の傷をひと撫ですると、

もう何事もなかったかのように、いつもの無表情に戻った。


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