国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
窓から最も遠い、議場の奥の隅にまで、冬の足長の光は、苦もなく届く。
明るい光に照らされたほとんどの重臣たちの顔は、一様に曇り、
それこそ、猛吹雪の中で、道を見失った迷子のような顔をしている。
「20年前の飢饉の折、確かにマルス様のことが人々の口の端に上りました。
不作になったのは、前王であるユピテロカ様が、神の娘を孕ませ、強引に側室に迎えたからだと」
部屋全体の空気は、さらに冷たく凍り付き、それぞれの心臓の鼓動までもが響いて聞こえそうだ。
「だから何だ?」
マルスは、怒りが先行しそうになるのを、もてうる限りの理性で、押しとどめた。
王にも、“忍耐”というものがあったのか、と何人かは心の中で感嘆した。
だが、核心に触れれば、マルスは激怒して、ルクスを処断するだろう。
ウルウの退官も間近で、さすがに、冷徹、公平で知られるルクスも、
やけになっているのだろうと考える者もいた。
もしくは、アニウスに勝てずに、悔しくて頭がどうかしたか。
人々の思惑など、完全に無視して、ルクスは、静かに口を開いた。
「民が、このたびの不作について、どういう噂をしているかご存知ですか?」
「知らんな。申してみよ」
「祭祀王を務めた上級巫女は、あのときすでに、穢れを持っていたのではないか。
ゆえに、神の怒りに触れて、クリナリア祭は失敗した。
この度の飢饉は、全てそのせいで、
巫女に罰を下さない限り、天は、ウェスタを許さないだろう、と--」