国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
そう言って微笑んでから、ニュクスは、はっとした。
もしや、自分は、マルスに気を使われたのではないのか。
肯定することのできない質問をされて、動揺している自分に、
わざわざ答えなくてもすむよう、話題を転換したのではないのだろうか。
音も立てず、マルスのすらっとした体が、すぅっと持ち上がる。
「あっ・・」
「ディアに、見舞いの品を送っておきます。
どうも、失礼しました。おやすみなさい」
マルスは、背を向けると、そのまま部屋を出て行った。
ニュクスは何か言いかけようとして、口をつぐんだ。
引き止めたところで、何をどう言えば良いというのか。
彼の頭の中では、すでにある種の決意が動かしようもないほど固まっていて、
他人の言葉に揺れ動いたりしないように思えた。