国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

マルスが口をつけなかったコップが、ニュクスのすぐ目の前にある。

暖かい湯気が、まだ温かさを失っていないことを示している。


寝台の下で、ガタン、と何かがぶつかるような音がした。


「ちゃんと、お聞きになりましたか?

あなたの息子は、ずいぶんと立派に成長したでしょう?」


寝台の下から、のっそりと現れた男は、ニュクスの言葉に返事をせず、

マルスのために出されていたお茶を、手に取ると、一気に飲み干した。


「はぁ~、こんな狭いところに押し込められて、死ぬかと思ったぞ」


相変わらず、飄々とした男の態度に、ニュクスは、はぁ~とため息を落とした。



・・どうして、私もヴェローナ様も、こんな人を好きになったのかしら。



部屋の中を、食べ物を探してうろうろと歩き回る様は、とても王族には見えない。

そのへんにいる、野良犬そっくりだ。


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