国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
政情が不安定になることは、よくあることだった。
貴族同士が争ったり、王族同士が王位継承権でもめたり。
しかし、ニュクスが嫁いで四半世紀の間、さして大きな揉め事は起こらなかった。
ユピテロカが王位を捨てたときでさえ、多少の不満の声は上がったものの、
アニウスがうまく仕切って、すぐに国は安定した。
ユピテロカ自身、4人の兄たちはすでに無く、息子が一人しかいないこともあって、
マルスが王位を継ぐことに反対するものは多くなかった。
マルスの血を疑問視する連中でさえ、国が滅びて、自分たちの地位を危うくするよりも、
彼を傀儡にして、うまい汁を吸う方がよいと、最終的には判断した。
・・今度もなんとかなるわよね?
心無い誹謗に、深く傷ついたマルス。
だが、彼には愛する少女がいる。それも、頭がよく、忍耐強い少女が。
餓死者はまだまだ出るだろうな、という男の声を、頭の隅にとどめて、
ニュクスは、茨の道を歩むであろう、若い二人に心の中で声援を送った。