国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
寝ぼけて夢を見ているのかしら。
レアがそう思うのは当然だ。その声は、神殿に出入りできないはずの兄の声だったから。
「レア?僕だよ。ラウスス」
ラウススが名乗ったのを聞いて、レアは、これが夢ではないことを確信した。
兄さん!と叫びそうになるのを抑え、小声で話しかける。
「本当に、ラウスス兄さんなの?どうしてこんなところに・・」
「君を助けに来たんだ。一緒に逃げよう」
ラウススは、レアの手首をがっしりと掴むと、容赦なく引っ張りあげた。
レアの、軽いからだが、子猫のように持ち上がる。
「ちょっと待って!逃げるってどうして?何があったの?」
「何言ってるんだ。無理やり王の妃にされそうなんだろう?
早く逃げよう」
ラウススは、レアを引きずるようにして、寝台からおろした。
「話を聞いて。何か誤解しているわ。私は無理やり妃にされたりしないから」
暗闇で、お互いの細かい表情までは見えない。
喜んで自分の手を取ると思っていたラウススには、
レアがためらう理由が、皆目見当もつかない。
時間がないのに、どうして、大人しく自分について来ないのか。