国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
神殿の外は、黒よりももっと暗くて、深い闇が広がっていた。
空は、厚い雲に覆われ、星ひとつ見えない。
こんな天を、レアは、この神殿に来てからはじめて見た様な気がした。
ラウススの力は相当に強く、レアの手首が、みしりと音をたてる。
「兄さん、痛いわ。手を離して」
外に出て、ラウススの気も、少しは緩んだのか、
レアの言葉にハッとしたように手を離した。
「すまない」
薄暗い中にも、レアが自分の手首を撫でているのがわかる。
それでも、ラウススは、今度は手首ではなく、掌をとった。
「ごめん。でもとにかく、今は、急がなきゃ」
ラウススが、再び歩き始めたが、レアは、決して歩こうとしなかった。
神殿からはだいぶ離れた。
少し大きい声で話しても、聞こえることはないだろう。
ここらで誤解を解いておかないと、本当に、連れて行かれかねない。
レアは、ラウススの両手を自分の両手で包み込むように硬く握ると、
一言一言、区切るようにはっきりと言葉をつむいだ。
「兄さん、私ね。
マルス王を愛しているの」