国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい



・・あれが、レア、か?



息を殺し、闇と同化して。

おそらくは、虫さえも彼の気配に気付くことはないだろう。


男は、妻の話を思い出して、目の前を通り過ぎていく少女がレアだろうと推測した。


『あの二人は、両想いなのです。

“あなたと、ヴェローナ様”のように』


ほんのわずか、嫌味を感じ取ったが、男はあえて聞き流した。

別に、政略結婚だからといって、彼女が嫌いなわけでもないし、それなりに愛してもいる。


二人の女を一度に愛して、何が悪い?


女という生き物が愛情を独り占めしたがる生き物であることは、重々承知していたので、

男は、もちろんそんなことを口にしたりはしなかった。


『ただ、若い二人は、やっと卵にひびが入った程度で、殻を破って出てこれないのですわ。

ちゃんと卵を暖めてやる親が必要ですのよ?』


それはつまり、自分に何とかしろということなのか。

男女の仲なんてものは、他人が口を挟むとかえってうまくいかなくなるものだ。


そうだな、などと妻には返したものの、何もする気はなかった。


が、

それは、“他人が口を挟まない場合”の話だ。



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