国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
マルスは、天を仰いだ。
何本もの、美しい命の源が、天から自分めがけて舞い落ちてくる。
頭も、服も、すでにびしょぬれだ。
・・どうする?逃げるのか?
天を見つめたまま、動こうとしないマルスの前で、
ホーエンもまた、微動だにせずに彼の判断を待った。
「人とは、この雨粒のようなものかもしれませんな。
天から落ちてくる間に、蒸発するものもあれば、地面に吸収されて一瞬でなくなるものもある。
はらはらと降ることもあれば、天の底が抜けたように勢いがつくときもある。
一滴一滴はたいした力はなくとも、
沢山集まれば、海となり、川となり、岩をも砕くほどの強い力を持つ」
「やけに、饒舌だな」
「口が過ぎました。お許しください」
こんな時なのに、いや、こんな時だからだろうか。
マルスはレアの言葉を思い出した。
『人というのは、自分を映す鏡でございます』
そうか。
俺がホーエンをくだらないやつだと思っていたのは、
俺がくだらない人間だったからだ。
では、今は?
ホーエンという人間の奥深さに気付いたということは、俺も少しは、成長しているのか?
マルスは、はかなげに、ふっと口元を緩めた。