国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
なぜかわからないが、レアはロカの言うことが、嘘ではないと感じていた。
ロカは、この男について行きたいと思わせるような何かを、確実に持っていた。
“誰かに、似てる”
それが誰なのか、レアは思い出せなかったが、ロカと一緒なら、ラウススとマリカは助かるだろう。
理由はなかった。ただの勘だ。
無理やり理論的に理由を探すとするなら--。
まず、彼が只者ではないということだろう。
時折見せる殺気。
気軽に歩いているように見えて、陽気に話しているときでさえ、周囲の様子を窺っている。
腰に下げた剣は、相当に使い込まれているのだろう。
柄の部分が、変色していて、それ自体に魂でも宿っていそうだ。
それにたいして、こちらは、男とはいえ農民である兄と女の自分、それに子供だ。
自分たちを殺しにきたなら、とうの昔にそうできたはずだ。
荷物だって、わざわざ自分たちに合うものを用意する必要はない。
そう。彼は、“自分たち”を助けに来てくれたのだ。
そこまで考えて、レアは、ふと一人の男の姿を思い描いた。
もしや、自分が磔にされるのを、救ってくれた?
まさか、と自分の考えを否定したが、はたと気付いた。
そうだ、この方は、マルス様に似ているのだわ。
あの方が持つ、有無を言わせぬ王者の輝き。