国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

なぜかわからないが、レアはロカの言うことが、嘘ではないと感じていた。

ロカは、この男について行きたいと思わせるような何かを、確実に持っていた。


“誰かに、似てる”


それが誰なのか、レアは思い出せなかったが、ロカと一緒なら、ラウススとマリカは助かるだろう。

理由はなかった。ただの勘だ。


無理やり理論的に理由を探すとするなら--。

まず、彼が只者ではないということだろう。


時折見せる殺気。

気軽に歩いているように見えて、陽気に話しているときでさえ、周囲の様子を窺っている。


腰に下げた剣は、相当に使い込まれているのだろう。

柄の部分が、変色していて、それ自体に魂でも宿っていそうだ。


それにたいして、こちらは、男とはいえ農民である兄と女の自分、それに子供だ。

自分たちを殺しにきたなら、とうの昔にそうできたはずだ。


荷物だって、わざわざ自分たちに合うものを用意する必要はない。

そう。彼は、“自分たち”を助けに来てくれたのだ。


そこまで考えて、レアは、ふと一人の男の姿を思い描いた。


もしや、自分が磔にされるのを、救ってくれた?


まさか、と自分の考えを否定したが、はたと気付いた。


そうだ、この方は、マルス様に似ているのだわ。

あの方が持つ、有無を言わせぬ王者の輝き。

< 396 / 522 >

この作品をシェア

pagetop