国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
自分の言った台詞が、こんなところで、自分に跳ね返ってくるとは。
飢えに苦しむ大勢の人がいる事にも気付かず、
神殿の中に囲われて、いつもと変わらない日常を送っていたのだ。
情けなかった。いつから自分は、こんなにも傲慢な人間になりさがってしまったのだろうか。
レアは、巫女としての使命を重んずるあまり、一番大事な事を忘れかけていたことに、
たった今、気付いた。
「ありがとうございます」
女は、自分に礼を言うレアに、不思議そうな顔をした。
「あなたは、二度も私を救ってくださいました。
一度目は当たり前だと思っていた施薬に、改良の余地がある事を教えてくださった。
そして今は、私に、人としての生きる道を教えてくださいました」
レアは、女の手に自分の手を重ねると、そっと微笑んだ。
その時、レアがいたのと同じ石塀の上から、低い、威厳のある声が落ちてきた。
「皆、聞いてくれ!!」
「おい、マルス王だぞ!」
レアに注がれていた視線が、一斉にマルスをとらえる。
「私の力不足のせいで、みなに辛い思いをさせて、すまなかった。
許してくれ。この通りだ」
マルスは、そのまま膝をおって、石塀の床に頭をこすりつけた。
人々の間に、どよめきがおこる。
王宮の兵士たちも、みな、王のそんな姿を見るのは初めてだった。