国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
やがて、ゆっくりと立ち上がったマルスの顔を、朝日が照らす。神々しいまでの輝きで。
「皆が私を許せないのはわかる。王位は、すぐにでも降りてかまわない。
だが、今、私が王位を降りても、無用の混乱を招くだけだ。
先代の王に、男の子は私だけだ。誰を王にするかで、もめることになるだろう。
飢えて死にそうなものには、時間がない。だから、どうか頼む。
今の状況を打開するだけの猶予がほしい。みなの力を貸してほしい。
落ち着いたら、必ず王位を降りると約束しよう。
頼む」
マルスはもう一度頭を下げた。
お互い顔を見合わせ、民衆のざわめきが、波のように伝播していく。
無用の流血が避けられるなら、その方がいいに決まっている。
だが、果たして王を信用してよいのか。
うまいこと口車に乗せられて、結局は飢えて死ぬのではないか。
「ランド将軍、あなたが代表者だと聞いている。意見を聞かせてほしい」
群集の後方にいたランドは、突然王に名指しされて、うろたえた。
おかしい。一体どうなっているんだ。
アニウスの計画では、彼が王の代理として、自分と話し合いをすることになっていたはずなのに。
レアなどという巫女が出てきたり、わけがわからない。
ランドが、首をめぐらせると、王とは反対側の石塀の上で、兵士の後ろに隠れるようにして立っているアニウスと目が合った。