国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
月がほのかにかすんで、夜の空をぼんやりと照らしている。
レアは、朧月を眺めながら、高鳴る胸の鼓動をおさえようと、大きく息を吸った。
10年間、一度も会っていない自分を、はたしてマルスは受け入れてくれるだろうか。
あんな別れかたをして、裏切ったと思われ、うらまれているかもしれない。
王宮の近くまで来ているというのに、マルスの容態について、街の人間は誰も知らなかった。
それどころか、倒れたという噂一つ、耳にしない。
王の健康状態は、国家を左右する重大事項だ。
箝口令(かんこうれい-話すことを禁じること)がしかれているのかもしれない。
だとしたら、命に関わるような、重篤な病である可能性がある。
ロカの言うように、暗殺されかけた可能性も。
・・やはり、ナナスを連れてきたのは、間違いだったのかしら。
ロカに甘え、息子と二人、ここまで来てしまったが、それが正しかったのか。
ウェスタに来れば、もう少し手がかりが手に入るだろうと考えていたのに。
レアは、自分の見通しが甘かった事を、反省し、今からナナスだけでも、戻らせようかと思い始めた。