国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
『ウェスタ神殿の神官長様が、新しくなったんだよ。なんでも、史上最年少だってことだ』
昼間、街で、王宮の話を聞けないかと、商人についていった先で、小耳に挟んだ噂話。
もしも、マルスと対立する人間が、神官長になっていたら、王の暗殺を企てるのは、たやすいだろう。
「眠れないのか?」
ふいに闇から浮き上がった言葉に、レアは、心臓が止まりそうなほど驚いた。
「ロカさん!驚いたわ。
ロカさんこそ、こんな時間に起きてくるなんて、どうしたのですか?」
「いや、ちょっと緊張して眠れなくてな」
「まぁ。ロカさんが、緊張するなんて」
いつも、飄々として、雲の様に生きているこの男にも、怖いものでもあるのだろうか。
「もしや、私のせいでしょうか?」
王宮を訪れたりして、下手をすれば、命に関わることになりかねない。
ロカは、いまだに何者なのかをはっきり口にしないが、
いつも当たり前のように、レアのことを助けてくれた。
だから、なんとなく今度も、当たり前のように守ってもらえるような気がしていたが、
それは、彼にしてみれば、非常に迷惑なことかもしれなかった。