国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
空を横断するように、細い雲がたなびいて、流れていく。
「あんたは、どうなんだい?」
ロカは、青い瞳に灰色の雲を映したまま、レアの答えを待った。
「私は」
「今でも、王が好きか?」
「・・それを答えられる立場では、ありませんから」
レアは、寂しそうに微笑んだ。
「立場ねぇ。
気持ちに立場が関係するのか?
マルスが王だから、体を許したのか?
貧乏人だったら、拒んだわけか?」
「違います!!
私は、マルス様がどんな立場だったとしても、彼を愛しています!!」
しんと静まり返った夜空が、レアの告白を、どこまでも遠くまで運んでいく。
ロカの、にやりとした口元を見て、レアはひっかけられたことに気付いた。
「ロカさん!」
「好きならそれでいいじゃないか。立場なんて、関係ないんだよ。男と女にはな」
レアは、下を向いたまま、顔を上げられなかった。
自分の気持ちは、はっきりしている。しかし、それとこれとは、別問題だ。
理想と現実は、違う。その境界線は、ぼんやりとして、はっきりと見えない。
そう、まるで、今夜の月のように。