国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
次の日、レアたちは、商人に礼を言って別れ、王宮を目指した。
夕方には、王宮の前につき、ナナスは初めて見る石塀に、感嘆の声を上げた。
「うわぁ。これ、どこまで続いてるのか、全然見えないじゃないか」
それは、今までナナスが見たことのあるどんな建物よりも大きくて、荘厳なものだった。
ナナスが、小さな首をぐるりと回すと、青い瞳に入りきらないくらいの高い石塀が映し出される。
「これ、どこから入るの?」
ナナスの言葉に、ロカは、笑って答えた。
「枯れ井戸からさ」
片目をつぶってみせるロカに、ナナスが、嘘だぁ、と食ってかかる。
嘘なもんか、と笑いながら応戦するロカ。
まるで、年の離れた親子のようだ、とレアは思った。
「あの、ロカさん。ここからは、私一人で行きます」
ここに来るまでの道中、ずっと悩んできたことだった。
もしも、マルスが自分を受け入れてくれなかったら。
マルスに敵対するものが、ナナスの存在に気付いたら。
一人で行くこと。
それが、レアの出した、結論だった。
何か反論するかと思ったが、ロカは、あっさりと承諾した。
「わかった。気をつけていけよ。王の居室は昔の場所と変わりない。
充分注意してな」
ナナスを力いっぱい抱きしめて、レアは、枯れ井戸の中へと体を滑り込ませた。
必ず、マルスを助けてみせる。
固い決意を胸に秘めて、レアは、踏み出す足に力を込めた。