国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
こんな状態のマルスを放置して、皆は何をしているのだろう。
それとも、わざとほったらかして、彼の死を待っているのだろうか。
決して、思い通りになどさせはしない。全身全霊でマルスを護ってみせる。
レアは、涙の奥に強い情熱の炎を見せた。
それに気付いたのか、マルスが少し微笑んだような気がした。
「昔、俺が言った言葉を覚えているか?
いつか、王として、お前が俺を認めてくれる日が来たら、俺の妃になってほしいと言ったこと」
レアは、マルスの首にすがるように抱きついた。
「もちろん覚えています。忘れるわけがありません!」
わっと、泣き出しそうになって、レアは唇を噛み締めた。
「答えが、聞きたい」
「えっ?」
「俺は、まだ、お前が認めるに足る王とはなっていないか?」
レアが、もう一度体を起こすと、マルスの真剣な瞳が、自分を捕らえていた。
「いいえ。立派な、偉大な王におなりです」
嘘でも情けでもなく、レアは心からそう思っていた。
遠く離れたチェルシーにさえ、轟くほどの賢王の噂。
どれくらいの努力をはらって、その名声を手にしたのか。
政を知らないレアにでも、それが簡単なことではないくらい、想像がつく。