国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
レアの真剣な顔を見て、マルスの口元がふっと緩んだ。
他人の痛みを、自分の痛みとしてとらえるレアだから、こんなにも自分の心の奥深いところまで入ってこれるのだろう。
そして、マルスは、それが少しも嫌ではなかった。
「俺の母は、ウェスタの神官だった。
ある時、神殿に男が侵入して、母は、乱暴されたんだ。その時身ごもったのが、俺だ」
「まさか!」
どこまで、本当かは、わからないがな、と前置きして、マルスは続ける。
「父は、死のうとした母を偶然助けて、恋に落ちたんだそうだ。
産み月が、かなり早いからな。俺が、王の子供でないのは確かさ。
中には、神官だった頃に、王のお手つきになったと噂するものもいたようだが、
父は、母の名誉のために、一切弁解しなかった」
泣くなよ、とマルスは、レアを抱きしめる。
彼女の瞳には、すでに大粒の涙が溜まっていて、今にも零れ落ちそうだ。
「たとえ血が繋がってなくても、ロカさんは、マルス様の事を愛していますわ。
だって、本当に似ています。犬だって、愛情を込めれば、飼い主に似るものですわ」
犬にたとえられたのに、マルスは、腹がたつどころか、素直に嬉しかった。
両親に愛されていたかどうか、マルスはいつも自信がなかった。
だが、レアがそうだと言うならば、きっとそうに違いない。
「そういえば、ウルウも、彼女の育ての親にそっくりだな」
マルスは、いつだったか、そう思ったときの事を思い出して、微笑んだ。