国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
愛する恋人たちが、10年ぶりの再開に胸をときめかせている頃、
宮殿の一角では、ナナスが、驚嘆の声を上げていた。
「すご~い!本当に広いね。ここは、おばさんの家なの?」
「いいえ、ここは、ウェスタの王、つまり、あなたのお父様のお住まいよ。
私は義母だから、お部屋をいただいて、住まわせてもらっているの。
あなたのお母様が、王の妃になったら、あなたもここに住むのよ」
おばさんと呼ばれた女--ニュクスは、目を細めてナナスを見ていた。
目じりのしわが、ほんの少し目立ってきたくらいで、その美しさは健在だ。
“おばさんだってさ”と、ナナスの隣でこっそり笑っている男に、冷たい視線を向けると、
気づいた男が、あわてて真顔を作った。
「すごいね、ロカおじさん!!」
「ですってよ?ロカ“おじさん”」
ニュクスは、おじさんを強調して、うっすら微笑んだ。
うっ、と言葉に詰まったロカを不思議そうに眺めながら、
ナナスは、くりくりとした瞳をめいいっぱい開いて、嬉しそうに大声を出した。
「そっか!
お父さんのお義母さんってことは、ひょっとして、僕のおばあさんになるってこと?
わ~、僕、嬉しいな!!家族は、お母さんだけだったから、おばあさんができるんだ!」
ロカは、ナナスの“おばあさん”発言に、たまらず吹き出した。
自分が、“おじいさん”と呼ばれることを忘れて。
ナナスの言葉に、笑顔を向けながらも、ニュクスはロカを睨む事を忘れなかった。
まったく、10年ぶりに会いに来たのに、あいかわらず性格の悪さは変わってないらしい。
もう少し、女に優しくしたらどうなのか。