国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
ほんのりと浮き上がる月明かりが、扉を護衛している男の足元に、長い影を描いた。
いつもと同じように、男は姿勢を崩すこともなく、ただその場にある。
いつも、怒っていると勘違いされる、無表情のままで。
ふと、人の気配を察して、男が俊敏な動きで、剣の柄に手をかけた。
それは、明らかに実践を経験した者の、体で覚えた、なめらかな動き。
「よっ!お前も相変わらず元気そうだな。頬の傷も変わりなさそうだ」
ロカは、男に近づくと、いまだ、剣に手をかけたままの男の肩を、ぽんと叩いた。
「ロカ様・・・」
男は、眉間にしわをよせて、天敵であるロカを見下ろした。
体の大きさでは、圧倒的に男が有利だったが、彼は一度もロカに勝ったことがなかった。
剣の勝負でも。
恋の勝負でも・・・。
「何の御用です?
今夜は誰も通すなと、王命を受けておりますので、明日顔を洗って、出直して下さい」
レアが部屋に入るのを確認してから、男はいつものように扉の前で睨みをきかせている。
朝まで誰も通すなと言われた言葉を、忠実に守って。