国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
真面目に仕事についている男に、ロカは、理解できないという風に肩をすくめてみせた。
本当は、男がそうやって、マルスに忠誠を誓っている理由も、ちゃんとわかってはいたのだが。
ほんの少しだけ、おもしろくなかった。
男が、いつまでも昔のまま、あまりに変わらなすぎるから。
「俺は、王じゃなく、お前に用があってきたんだよ」
「私にですか?今は、仕事中ですから、手短にどうぞ」
そっけない態度も、かわりばえがない。
変わったのは、顔のしわの深さと、髪の毛に白いものが混ざっていることくらいだろうか。
「あいかわらず、つれないやつだな~。そんなんじゃ、女にもてないだろ」
ロカの軽口に、男は黒目だけをぎょろりと動かして、見下すように睨みつけた。
お~、こわっ!というロカの言葉に、男のこめかみが、ぴくりと反応する。
掌が、剣の柄に吸いつくと、腰を低くして身構えた。
「わ~、待て待てって!悪かったよ。冗談だ、冗談」
ロカは、男から一歩距離をとるように、後ろに下がった。
足が地面に着いたときには、ロカの陽気さを示すような、どんな表情もなかった。
「子供がな。ナナスっていうんだが、10歳になる男の子を連れてきたんだ」
「それが何か?」