国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
「なんの話か、わかりかねますが」
普段なら、面倒がって、ロカは、この辺で引き返しているだろう。
だが、すでに、自分たちは、老い先短い。
このまま、墓場まで真実を背負っていくのかと思うと、何ともやりきれない気がする。
第一、ナナスは、かわいい。
血の繋がっていない自分が、そう思うのだ。本当の祖父なら、さぞかし・・・。
「マルスに、名乗っても、かまわないんじゃないのか?
あいつも、もう子供じゃない。
ヴェローナとお前が恋仲で、俺がお邪魔虫だったってことくらい、話してやってもいいんじゃないのか?」
ロカの言葉に、男は初めて、笑みを浮かべた。
明らかに、小ばかにしたような、軽蔑の笑い。
「とんだ、夢物語ですな。狂王の名は、やはり伊達ではない」
ロカは、ため息を一つ落とすと、きびすを返した。
「お前は、貧乏くじばかりひくな、ホーエン」
立ち去るロカの後ろ姿に、ホーエンは、ゆっくりと、お辞儀をした。
姿が見えなくなっても、ホーエンは、そのまま頭をあげようとはしなかった。