国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい



・・ヴェローナは、あなたを愛していたのですよ。ユピテロカ王。



自分とヴェローナは、お互い愛し合っていると思っていた。

だが、愛していたのは、自分の方だけで、彼女は幼馴染としての愛情を感じていたにすぎなかった。


親の命令で神官になったヴェローナをあきらめきれず、

神殿に忍び入った、若き日の自分の姿を思い出して、ホーエンは瞳を閉じた。


自分を受け入れてくれると思っていた彼女に拒まれたあの日。

感情を制御できず、激怒したまま大きな罪を犯してしまった。

それを救ってくれたのは、間違いなくユピテロカだ。


ホーエンは、そっと自分の頬の傷に触れた。

20年たっても、癒えることのない、その傷。

あの時、なぜユピテロカは自分を殺さなかったのか。


ヴェローナだけでなく、本来なら打ち首にされても仕方ない自分を助け、

愛する女と息子を守る役目にまで付けてくれた。


一生をかけて、この罪をあがなう。マルスを守ることで。

それは、ホーエンのたてた、一つ目の誓い。

そして、もう一つは。

決して自分の口から、真実を語らないこと。



・・今なら、君がユピテロカ王を愛した理由がわかるよ。



愛し合っていたはずの二人は、その純粋さゆえに、お互いの愛を知らぬまま破局を迎えてしまった。

だが、悔しいから、あの自由人にそれは教えてやらない。


ホーエンは、床に落ちた己の影を見ながら、ふ、と微笑んだ。

それを見たものがいれば、夢でも見たんだろうと思うほど、柔らかく--。






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