国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
窓から入る光が、ちょうどウルウの顔を照らしている。
ウルウは一瞬目を眇めたが、それが、シギネアの名前に反応してなのか、光がまぶしかったからなのか、レアにはわからなかった。
だが、やはり、聞くべきではなかったのだろうか。
レアは、せっかくの楽しい雰囲気を壊してしまった事を悔いたが、
それでも、どうしてもシギネアのことは気になった。
彼女もまた、ウェスタの巫女の一人に違いないのだ。
「10年前の反乱以降、父であるアニウス様と二人で、
トーラの街に移り住んでいたのですよ」
ウルウの声は、落ち着いている。
やはり、さっき顔つきが険しくなったのは、光のせいだったのかもしれない。
「トーラって、あの、最初に民衆の反乱が起きた地ですか?」
そうだ、と答えたのは、ウルウではなくマルスの声だった。
「反乱を起こしたのは自分だから、その罪を償うと、アニウスが言い出してな。
シギネアは嫌がっていたが、父親と一緒に移り住んで、畑を耕して暮らしていた」
「そうだったのですか」
あの誇り高いシギネアが、畑を耕すとは、そうとうの我慢を強いたに違いない。
「3年前にアニウスが死んでからは、各地を転々として、民に無償で施薬をしていると聞いている」
「素晴らしいことです。誰にでも、出来ることではありませんね」
10年という時の流れが、シギネアにどのような変化をもたらしたのか、知ることはできないが、
マルスの話が真実なら、おそらく彼女自身にとって、それは幸せな変化であるはずだ。