ワケありな三人
それから数日間、オレはあまり仕事が身に入らなかった。





右田さんはその原因に気付いて、“今度はうまくいきますよ”と肩を叩いた。





オレ自身も、今回は何かが違うという感触があった。




そして今夜もバイトが始まり、右田さんは少し遅れてきた。





「ごめんごめん、風が強くてまいっちゃったよ。」





いつものことだが、嘘が下手だなぁ。





正直に寝坊したと言えば許すのになぁ。





「そうですか。確かに今日は風が強いですね。」





怒る気にもなれなかった。




それより、オレの頭はあの子のことでいっぱいだった。
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