たんぽぽ
春華と直接こんなに話したのは初めてだった。
いつも電話ではこんな感じで話していたが、直接会って話すのは全くと言っていいほど違っていた。春華はこんなに楽しそうな顔をして話していたのか。僕はそんなことを思いながら話していた。
そのとき僕はきっと幸せな顔をしていたに違いない。僕はそう思う。
気づけば夕方の4時半過ぎ。窓から沈みかけた太陽の光が入っている。それは部屋全体をきれいに染めていた。真っ白の壁が見たこともないオレンジ色に変わっている。それはとても神秘的だった。
人間の時間感覚ほど不合理なものはない。授業や始業式・終業式などの嫌な時間はどんなに時間が経ったように思えても、時計は5分も進まないのに、本当に楽しい時間は時計の短針を一瞬で動かしてしまう。
春華は、壁にかかっている時計を見て、残念そうに言う。
「もう帰らなきゃ…」
春華の家はとても厳しく、門限は午後5時と決められている。春華の家は自転車でここから30分ほど行ったところにあるという。ここから学校までが約15分、そして学校からさらに15分程行ったところに春華の家はあるらしい。
「そっか…。外まで送るよ」
僕が寂しそうに言うと春華は立ち上がった。
それを見て僕も立ち上がる。
荷物をまとめ、部屋の扉を開けようとする春華の後ろ姿を見ていると、春華が愛おしいという思いがあふれてきた。
「ちょっと待ってッ!」
突然の大きな声に春華は驚き、振り返る。
僕は春華の目をじっと見た。
春華も僕の目から目をそらさなかった。
僕は春華の肩をやさしく抱き、そっと春華の唇にキスをした。
よく初めてのキスの味はどんな味だった?という話が雑誌などに載っているが、味なんてしなかった。ただ、初めてのキスは僕に幸せな気持ちをくれた。そして、いつの間にか春華をこんなにも好きになっていたことに気づかせてくれた。
僕達はその後、うまく目を合わせることができなかった。気まずさをごまかすために僕は「じゃ、行こっか?」と言い、頷いた春華を連れて外に出た。
いつも電話ではこんな感じで話していたが、直接会って話すのは全くと言っていいほど違っていた。春華はこんなに楽しそうな顔をして話していたのか。僕はそんなことを思いながら話していた。
そのとき僕はきっと幸せな顔をしていたに違いない。僕はそう思う。
気づけば夕方の4時半過ぎ。窓から沈みかけた太陽の光が入っている。それは部屋全体をきれいに染めていた。真っ白の壁が見たこともないオレンジ色に変わっている。それはとても神秘的だった。
人間の時間感覚ほど不合理なものはない。授業や始業式・終業式などの嫌な時間はどんなに時間が経ったように思えても、時計は5分も進まないのに、本当に楽しい時間は時計の短針を一瞬で動かしてしまう。
春華は、壁にかかっている時計を見て、残念そうに言う。
「もう帰らなきゃ…」
春華の家はとても厳しく、門限は午後5時と決められている。春華の家は自転車でここから30分ほど行ったところにあるという。ここから学校までが約15分、そして学校からさらに15分程行ったところに春華の家はあるらしい。
「そっか…。外まで送るよ」
僕が寂しそうに言うと春華は立ち上がった。
それを見て僕も立ち上がる。
荷物をまとめ、部屋の扉を開けようとする春華の後ろ姿を見ていると、春華が愛おしいという思いがあふれてきた。
「ちょっと待ってッ!」
突然の大きな声に春華は驚き、振り返る。
僕は春華の目をじっと見た。
春華も僕の目から目をそらさなかった。
僕は春華の肩をやさしく抱き、そっと春華の唇にキスをした。
よく初めてのキスの味はどんな味だった?という話が雑誌などに載っているが、味なんてしなかった。ただ、初めてのキスは僕に幸せな気持ちをくれた。そして、いつの間にか春華をこんなにも好きになっていたことに気づかせてくれた。
僕達はその後、うまく目を合わせることができなかった。気まずさをごまかすために僕は「じゃ、行こっか?」と言い、頷いた春華を連れて外に出た。