たんぽぽ
 洋食屋は本当にすぐ近くにあった。公園を抜けるとすぐに見えた。外見は洋風な小さな店で、外には今日のメニューを書いた黒板が置かれている。

 中に入ると、意外と広く、若い客が多かった。店員に席を案内されて座る。女の子と二人でご飯を食べるのは、初めてだったし少し緊張していたが、それを春華に知られるとかっこ悪いと思い、僕は平気なフリをしていた。

 メニューを見て、料理が来るまで会話も弾まなかった。

 しかし、出てきた料理がおいしかったおかげで緊張がほぐれ、いつものように話すことができた。お互いの料理を食べさせあったりもした。今までで一番楽しい食事だったように思う。

 その後、映画を見て、カフェでお茶をした。

 そして、始めの公園に戻り、夕方の四時半まで話をした。

 最後にキスをして僕達は別れた。

 僕達の初デートはこんな感じだった。

 とても楽しかったし、春華も楽しんでくれたと思う。その夜、こんなことなら早くデートに誘うんだったと強く思った。

 
 その次の日から、僕達は学校でもたくさん話すようになったし、デートにも行くようになった。

 待ち合わせ場所はあの公園になり、そこから映画を見に行ったり、ボーリングに行ったりした。買い物にも一緒に行ったし、僕の部屋にもよく行くようになった。

 幸せだった。春華との時間がかけがえのないものになり、いつまでもこうしていたいと思った。

 しかし、こんな幸せな日々が続くのもそう長くはなかった。
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