たんぽぽ
 おっじーは次に小さな雑貨屋に連れて行ってくれた。

 見たこともないおもちゃや変なお菓子やジュース、外国のワケのわからないキャラクターグッズ、なかには気持ちの悪いがい骨の形をした置物もあった。

 僕が様々なものに目移りしているとおっじーが二十センチくらいのクマのぬいぐるみを勧めてくれた。パッと見ただけで二十種類くらいは違う模様のクマがいた。

「これならそんなに高くもないし、重くもない。しかも、一匹ずつ名前があって同じものはあまりないんだ」

 僕は一目で気に入った。

 ただ種類がありすぎてすぐには決まりそうもなかった。ゆっくりとクマのぬいぐるみを吟味した。本当にたくさんの種類のクマがいた。

 ピンクベースに紫の斑点のクマ、黄緑ベースに黄色の斑点のクマ、赤ベースに黒の斑点のクマ、紫ベースに黒の斑点のクマ、水色単色のクマや茶色のクマもいた。その一匹一匹に名前がついている。名前は首についている首輪のようなタグに特徴のあるローマ字の筆記体で書かれていた。

 僕は英語が苦手だったし、クマの名前には苦労した。TOMMYとかJAMESなどのわかりやすい名前のクマもいたが何て読むのかわからないクマもいた。

 僕は結局、小一時間ほど迷い白ベースの黒い斑点のクマにした。名前は何と読むのかわからなかった。それが少しひっかかったがそのホワイトタイガーならぬホワイトベアーの模様が気に入った。

 そして、バースデーカードらしき小さなカードも選び、小さな雑貨屋の店員にプレゼント用に包んでもらい家に帰った。

 僕は家に帰るとすぐに机に向かった。

 ついさっき買った小さなカードに何と書くかを考えた。とにかく謝りたかったので、「ごめん」は書くことに決定。それからもちろん「誕生日おめでとう」も書くことに決定。後は何を書くか…。

 僕は思い切って書き始めた。

 今井へ
 誕生日おめでとう。それから本当にごめん。もしよかったら電話してきて。
 高嶺雄太

 僕はメッセージをあえて簡潔にした。長々と書くよりも言いたいことを簡潔に書いた方が伝わると思ったからだ。

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