たんぽぽ
風が強く、ペダルをこいでもうまく進めない。川には、こんなに寒いにもかかわらず足の長い白い鳥が何匹か水の中に足をつけている。
やっとのことで土手沿いの道を曲がる。学校の近くのスーパーマーケットの横を通り過ぎる。
もうすぐそこだ。僕は少しだけ力強くペダルをこいだ。
やっとのことで山の麓の駐輪所に着いた。いつものようにここにはたくさんの自転車が並んでいた。僕も空いているスペースを見つけて自転車をとめる。
しかし、ここからがたいへんだった。
朝と夕方の登下校の際は、十分に一本はバスがあるのだがそれ以外は昼に一本だけしかない。しかもその昼の便の時刻はとっくに過ぎていた。
歩くしかないか。寝坊した時点でわかっていたことだが改めてこの坂道を見ると僕は嫌になった。しかし、そんなことを言っている場合ではない。もしかしたら今日春華が来ているかもしれない。
足早に坂道を登る。車一つ通らないその道は現実とは違う世界に感じた。僕は風に吹かれる木々の音を聞きながらひたすら登る。
途中には梅がきれいな花を咲かせていた。今にも梅の香りが漂ってきそうな立派な梅がところどころに濃いピンク色をまき散らしていた。桜にはまだ花は咲いておらず梅に比べると寂しく、枝をむき出しにしていた。
七つ目のカーブを曲がり終わると下界が見渡せた。さっきまで必死で自転車を走らせた道が小さく見える。
朱色の橋や僕の下宿所は角度の関係から見ることはできないが、今さっきあの道を通って来たと考えると少し不思議な感じがした。あんなに遠いところから来たのか。あんなところからこんなところまで歩いてくることができるものなのかと。
そうこうしているうちに学校のグランドが見えてきた。体育の授業はないようだ。グランドに人影は見えない。強い風に砂がまっているだけだった。
バス停を過ぎ、階段をあがっていくと向かって右手に中学棟があり、正面に高校棟がある。地面のつくりはレンガで統一されている。
顔と手は凍るように冷たかったが寒いということはなかった。体は少し熱をもっていて、心臓が大きな音をならし、息づかいは少し荒かった。
僕は携帯電話の時計を見た。二時半を過ぎた頃だった。ちょうど五時間目が終わったところだ。
やっとのことで土手沿いの道を曲がる。学校の近くのスーパーマーケットの横を通り過ぎる。
もうすぐそこだ。僕は少しだけ力強くペダルをこいだ。
やっとのことで山の麓の駐輪所に着いた。いつものようにここにはたくさんの自転車が並んでいた。僕も空いているスペースを見つけて自転車をとめる。
しかし、ここからがたいへんだった。
朝と夕方の登下校の際は、十分に一本はバスがあるのだがそれ以外は昼に一本だけしかない。しかもその昼の便の時刻はとっくに過ぎていた。
歩くしかないか。寝坊した時点でわかっていたことだが改めてこの坂道を見ると僕は嫌になった。しかし、そんなことを言っている場合ではない。もしかしたら今日春華が来ているかもしれない。
足早に坂道を登る。車一つ通らないその道は現実とは違う世界に感じた。僕は風に吹かれる木々の音を聞きながらひたすら登る。
途中には梅がきれいな花を咲かせていた。今にも梅の香りが漂ってきそうな立派な梅がところどころに濃いピンク色をまき散らしていた。桜にはまだ花は咲いておらず梅に比べると寂しく、枝をむき出しにしていた。
七つ目のカーブを曲がり終わると下界が見渡せた。さっきまで必死で自転車を走らせた道が小さく見える。
朱色の橋や僕の下宿所は角度の関係から見ることはできないが、今さっきあの道を通って来たと考えると少し不思議な感じがした。あんなに遠いところから来たのか。あんなところからこんなところまで歩いてくることができるものなのかと。
そうこうしているうちに学校のグランドが見えてきた。体育の授業はないようだ。グランドに人影は見えない。強い風に砂がまっているだけだった。
バス停を過ぎ、階段をあがっていくと向かって右手に中学棟があり、正面に高校棟がある。地面のつくりはレンガで統一されている。
顔と手は凍るように冷たかったが寒いということはなかった。体は少し熱をもっていて、心臓が大きな音をならし、息づかいは少し荒かった。
僕は携帯電話の時計を見た。二時半を過ぎた頃だった。ちょうど五時間目が終わったところだ。