たんぽぽ
帰る途中に見える景色は昼間見たときとは少し違った。
いつもと何もかわらないのに、いつもの僕の好きな景色ではなかった。もちろん、それがなぜだかははっきりわかっていた。
だんだんと暗くなっていく空の中、ポツポツと家に明かりがついていた。
僕の横を生徒でいっぱいのバスが通る。バスから出る排気ガスを吸って僕は鼻の奥がツーンとした。
行きとは違い時間に制限はなかったし、ゆっくりゆっくり、本当にゆっくりと坂を下りた。
どれくらいたったのかはわからなかったが、駐輪所に着いたときには完全に暗闇に包まれていた。
なぜかまっすぐ家に帰りたくなかった。僕は自転車にまたがり、川に向かった。
近くのスーパーマーケットから大通りを北にまっすぐ行くとすぐに川がある。朱色の橋がかかっていた川と同じ川だ。
僕は防波堤のそばに自転車をとめ、防波堤の上に座った。もう真っ暗だったし何も見えなかったが別にどうでもよかった。
凍えるような気温も初めは寒くて仕方なかったが、そのうち心地よく感じてきた。空を見上げても星は見えなかった。
そういえば今日は一日中曇ってたっけ。しばらくそうして何も考えず空を見ていた。
やがて、寒さの限界がきて、家路についた。
部屋に帰ると制服も着替えずに、上着だけを床に脱ぎ捨てベッドに飛び込んだ。
ふと、思い出したように携帯電話を見る。しかし、着信履歴は一件もなかった。
それもそのはずだ。春華はまだあのホワイトベアーのことを知らないはずだ。しかも、あのメッセージを読んだからといって電話をくれる保障はない。その前に春華が学校に来れなければあのホワイトベアーにも気づかないし、当然僕にも電話はこないのだ。
そんなことを考えていると知らない間に僕は眠りについていた。
いつもと何もかわらないのに、いつもの僕の好きな景色ではなかった。もちろん、それがなぜだかははっきりわかっていた。
だんだんと暗くなっていく空の中、ポツポツと家に明かりがついていた。
僕の横を生徒でいっぱいのバスが通る。バスから出る排気ガスを吸って僕は鼻の奥がツーンとした。
行きとは違い時間に制限はなかったし、ゆっくりゆっくり、本当にゆっくりと坂を下りた。
どれくらいたったのかはわからなかったが、駐輪所に着いたときには完全に暗闇に包まれていた。
なぜかまっすぐ家に帰りたくなかった。僕は自転車にまたがり、川に向かった。
近くのスーパーマーケットから大通りを北にまっすぐ行くとすぐに川がある。朱色の橋がかかっていた川と同じ川だ。
僕は防波堤のそばに自転車をとめ、防波堤の上に座った。もう真っ暗だったし何も見えなかったが別にどうでもよかった。
凍えるような気温も初めは寒くて仕方なかったが、そのうち心地よく感じてきた。空を見上げても星は見えなかった。
そういえば今日は一日中曇ってたっけ。しばらくそうして何も考えず空を見ていた。
やがて、寒さの限界がきて、家路についた。
部屋に帰ると制服も着替えずに、上着だけを床に脱ぎ捨てベッドに飛び込んだ。
ふと、思い出したように携帯電話を見る。しかし、着信履歴は一件もなかった。
それもそのはずだ。春華はまだあのホワイトベアーのことを知らないはずだ。しかも、あのメッセージを読んだからといって電話をくれる保障はない。その前に春華が学校に来れなければあのホワイトベアーにも気づかないし、当然僕にも電話はこないのだ。
そんなことを考えていると知らない間に僕は眠りについていた。