たんぽぽ
 僕のような問題児が学校の一大イベントのトップに立つことをよく思っていない先生もいて、プレッシャーをかけられたりもしたが、負けなかった。

 逆にそれをバネにし、見返してやろうという気持ちで全力を尽くした。

 自分達の意見を通すため、あるときは嫌いな先生に頭を下げ、あるときは学校の理事長に直談判しにいき、またあるときは、クラス一つ一つをまわり協力を求めた。

 とにかく新しいことがしたかった。

 新しい種目を増やしたり、体育祭の告知の仕方を大幅に変えたり。

 体育祭を盛り上げるためにはなんでもやりたかった。

 それを実現させるには様々な障害があり、それを一つずつ解決していった。

 僕は、委員長の他にも白組の応援団の副団長もすることになり、大忙しだった。

 しかし、どちらかの仕事を疎かにするのは絶対に嫌だったため、必死に両立させ、毎日夜遅くまで学校に残って作業した。

 そのため、体はボロボロになり疲れも溜まっていく一方だった。しかし、日々の生活は充実し、生きがいを感じていた。

 間違いなくこれまでで一番生き生きと過ごした時間だったであろう。

 体育祭は結局、天気も雲ひとつない快晴の中、保護者の方たちの動員数も創立以来1番だったらしく大成功だった。

 ただ、体育祭の始まりの委員長の挨拶で全校生徒を前にすると頭の中が真っ白になり、考えていたことを全て忘れてしまい、今日はいい天気ですね。みなさん頑張りましょう!としか言えなかったのが残念だった。

 さすがにあがり性まではどうしようもなかった。

 しかし、全体的には本当に最高の体育祭で、全てが終わった後、僕は初めて人前で涙を流すほど感動し、喜んだ。

 その頃には僕と担任の先生の間には、深い信頼が築かれていて、2人で成功の喜びを共有した。
 
 この体育祭は僕にとって、ものすごく大きな影響を与えた。
< 51 / 70 >

この作品をシェア

pagetop