たんぽぽ
 この体育祭をきっかけに、今度は自分から立候補し、文化祭実行委員長や副会長も務めた。

 体育祭の功績を認められ、今度は僕に文句を言う先生はいなかった。逆に全ての先生から応援された。

 僕は体育祭で学んだことを生かし、文化祭も成功させることができた。

 高校2年生の頃が人間として、最も成長することができた一年間だったと思う。

 それも全て両親と担任の先生のおかげだった。両親とこの先生のおかげで僕の人生が変わったといっても過言ではなかった。

 この二つの大きな出来事がタイミングよく起きてくれたことは本当に運が良かった。

 このように学校生活は充実した毎日を送れるようになったが、相変わらず恋愛面では屈折していた。

 学校でちょっとした「お祭り男」として目立つようになったこともあり、女の子は以前にも増して寄ってくるようになった。

 しかし、やはりその中に好きになった子は一人もいなかった。それでも、付き合い、関係は持った。

 僕はもう、そうすることが自然なことであるようにしか感じなくなっていた。

 自分でも、それが悲しく、むなしいことだと自覚していたが、そんな現実を改善させることをすでに諦めていたのかもしれない。

 一方、春華は前に進んでいるようだった。

 幸か不幸か、僕と春華は高校1年生のときも高校2年生のときも違うクラスになったので、二人の学校生活が重なることはなかった。

 僕が学校に行くようになってからはたまに廊下で春華とすれ違う程度だったが、二人とも目を合わせることもなく、明らかに避けあっていた。
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